Gladiusが「削った」もの
Warhammer 40,000: Gladius - Relics of Warは、Proxy Studios開発・Slitherine販売で2018年7月に配信されたターン制4Xです。プレイヤーは1勢力を率い、帝国の植民惑星グラディウス・プライムの支配権を争います。
設定より重要なのは、ひとつの設計判断です。外交が存在しません。 交易も同盟も講和も、時間を稼ぐための一時停戦すらありません。全勢力が全勢力と恒久的に交戦状態にあり、マップをうろつく中立生物も襲ってきます。
CivilizationやEndless Legendから来たなら、まずこの「削除」を頭に入れてください。あちらでは序盤の不利は交渉で解消できます。ここではできません。国境は部隊で保つか、保てないかのどちらかです。
外交を失った代わりに得たのは速さです。経済が複利で膨らむのを眺める長い平和期が無く、だいたい15ターンまでには何かと戦っています。1試合が週末ではなく一晩で終わります。
6種類の資源
Gladiusは6種類の資源で回りますが、新規プレイヤーが最初に踏む誤解は「自分の種族もチュートリアルの種族と同じ使い方をするはず」というものです。
| 資源 | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 食料 | 多くの種族で都市の人口を増やす | Space Marinesは徴発物資、Necronsは鉱石で人口を賄う |
| 鉱石 | 建物の建設、部隊の生産と維持 | Necronsは人口資源も兼ねるため需要が桁違いに大きい |
| エネルギー | 建物の維持と特殊部隊 | Necronsは部隊生産にも使うため、止まると増援が来ない |
| 影響力 | 都市タイルの維持費、英雄とその装備・スキル | タイル1枚につき毎ターン1、永久に消費し続ける |
| 研究 | 建物・部隊・特性の解放 | 研究で得た特性はユニットカードで青く表示される |
| ロイヤリティ | 都市の安定度 | 都市建設でも人口増加でも下がる |
引っかかりやすいのは影響力です。政治的な柔らかい資源で英雄にしか関係しない、と読んでしまいがちですが違います。都市が保有するタイルは1枚につき毎ターン1の影響力を食い続けます。 領土を広く塗った帝国は、地図の色を保つだけで影響力を払い続けており、英雄とその装備が同じ枠を奪い合うことになります。
都市の周囲にもう一段タイルを取る前に、そのタイルが実際に何かを産んでいるか見てください。国境の見栄えのために取った土地は、見返りゼロの永久的な影響力の請求書です。
拡張の上限を決めるのはロイヤリティ
多くの4Xでは、拡張の限界は生産力や幸福度で、最終的には金で解決できます。Gladiusではロイヤリティが上限を決め、しかも二方向から悪化します。
ロイヤリティは都市を追加で建てるたびに下がり、さらに人口が増えるたびにも下がります。つまり、うまくいっている都市は成功しているというだけで不満を生みます。急速に雪だるま式に伸ばすほど、不安定さも早く来ます。
したがって良い序盤の形は、直感より狭くなります。
-
1
首都を建て、タイルを実際に見る
都市はHPと装甲が高く、偵察や徘徊する中立は自力で耐えられる。安全性より資源タイルを優先して立地を決める。
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2
安い部隊で偵察する
2つ目の都市を決める前に、中立ユニットと隘路の位置を知る必要がある。偵察役を失うのは構わないが、8ターン目に本隊が徘徊モンスターに溶けるのは困る。
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3
2つ目の都市を建てたら、いったん止まる
ロイヤリティが保たれ維持費を払えている2都市は、不満だらけで影響力が赤字の4都市より強い。
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4
3つ目の前にロイヤリティを回復させる
自種族が持つロイヤリティ用の建物を建て、影響力収支が追いつくのを待つ。それから再び広げる。
赤字が実際にやっていること
ここは正確に知っておく価値があります。UIの見た目より穏やかな挙動だからです。
建物の維持に必要な資源がゼロになると、その建物の生産は毎ターン10%ずつ下がり、下限50%まで落ちます。 停止はしませんし、帝国が崩壊するわけでもありません。劣化し、直すか底を打つまで劣化し続けます。
結果として二つのことが言えます。ひとつ、意図的な短期の赤字は正当な手段です。重要な建物を建て切るために3ターンほど負に振れるのは破滅ではありません。ふたつ、気づかなくなった赤字は本当に高くつきます。帝国全体の生産が半分というのは膨大なテンポの損失ですが、劇的な失敗メッセージとしては一度も表示されません。
建物を建て終えたときとタイルを取ったとき、つまり維持費が変わる瞬間に毎回収支を確認してください。ゲームが警告するのを待つのでは遅すぎます。
最初に選ぶ種族
都市をどこに建てられるかが種族ごとに違い、それが部隊構成よりも序盤の形を大きく変えます。
- Astra Militarum — どこにでも建設可。安価で大量、車輌が強く、大半が遠隔歩兵。士気が非常に脆いため配置を学べる。最初の種族として最適。
- Orks — どこにでも建設可。攻撃的で近接寄り。士気は崩れにくいが、崩れたときに大きな被害を受ける。
- Necrons — 墓所(tomb site)にしか都市を建てられない。人口維持に鉱石を食い、拡張はプランではなくマップに規定される。
- Space Marines — 要塞修道院ひとつで運用し、都市を増やさず垂直に成長する。精鋭・高価・少数で、通常の4Xの序盤から最も遠い。
最初の1戦はAstra Militarumを推します。Space Marinesは設定的に目を引きますが、「1都市を上へ伸ばす」のは別のゲームで、本ガイドが扱うシステムの大半が隠れてしまいます。
種族ごとの詳細は種族ガイド、戦闘の解決方法は戦闘ガイドを参照してください。
序盤で負ける典型的なミス
- Civilizationの感覚で広げる。 ロイヤリティと影響力の両方が「広さ」を罰します。健全な3都市は病んだ6都市より強い。
- 中立ユニットを無視する。 背景ではありません。単独で出た低レベル部隊は徘徊する中立の群れに消されます。
- 収量ではなく地図のためにタイルを取る。 タイル1枚あたり毎ターン1は、一度なら安く、永久なら高い。
- 他種族のビルドオーダーを真似する。 Space Marinesは徴発物資、Necronsは鉱石、Tyranidsはバイオマス。「標準的な」経済の助言は移植できません。
- 赤字を放置する。 毎ターン10%ずつ50%まで、静かに、累積的に、その場では非常に気づきにくい形で進みます。
★主観評価:何をやらないかを知っている4X
Gladiusはグランドストラテジーになろうとしておらず、そのおかげで良いゲームになっています。外交を切ったことで時間稼ぎの戦術が丸ごと消え、一晩で決着する引き締まった攻撃的な4Xが残りました。
代償は本物です。外交が無いぶん出遅れから立て直す手段が少なく、AIの容赦ない敵対性のせいで序盤の位置取りのミスが緩和されずに複利で効いてきます。巧みな交渉で劣勢を救う4Xを求めるなら本作ではありません。4Xの形だけ欲しくて、平和で退屈な中盤は要らないなら、それを実現している数少ない一本です。